ぽんぽこ山保育園mo


自然いっぱい「ぽんぽこ山保育園」の図

八幡地域と周辺の大切なもの

目 次

ぽんぽこ山保育園の理念方針

保育理念

  • 八幡の豊かな自然環境の中で子ども達が思い切り自分を発揮でき、生きる力を培う保育をめざします。
  • 子どもの育ちを保護者地域がともに見守り、地域にとっても保育園が必要な集いの場となることをめざします。

保育方針

子どもの最善の利益を尊重し、養護と教育を一体とした保育を通して、豊かな感性と人間性をもった心身ともに伸びやかな子どもの育成をめざす。
①十分に養護の行き届いた環境のもと、くつろいだ雰囲気の中で、子どもの欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図る。
②健康で安全な生活の仕方を身につける。
③人とのかかわりの中で、愛情と信頼感を深め、人権を大切にする心を育てる。
④生命、自然及び社会の事象について興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培う。
⑤生活やあそびの中で言葉への興味や関心を育て、言葉の豊かさを養う。
⑥さまざまな体験を通して、豊かな感性や表現力を育て、創造性の芽生えを培う。

園長の思い

自然につつまれて育つ
八幡のシンボル飯山のふもとに、地域の方々の熱い思いで小規模保育事業所「ぽんぽこ山保育園」を開設して三年目となります。
ここは自然環境に恵まれており、子どもの感性が存分に育つ環境です。私たちは当たり前のようにある自然の中で育ち、自然の大切さに気付かないで過ごしてきました。あえて今、子どもの育ちに自然の必要性が問われています。
時代と共に環境や社会は変わってきましたが、ここにある豊かな自然から感動や発見、不思議、驚きなど心躍る体験を子ども達はしています。園庭内で虫とり、カエルやヤゴ探し、溝遊び、木登りなどができる恵まれた環境の中で、思いっきり自分を発揮できる子どもを育むために、自然保育に取り組んでいます。
園庭で、桜の花びらが雪のように舞い散るその瞬間に出会えること、オニヤンマのふ化、冬の木の枝の霜が朝日に照らされるその一瞬一瞬の感動の出会いをこの乳幼児期に体験しています。
空気や風、空の色、匂い、光、音などを感じながら自然の中にいると、心の落ち着き、おおらかな心、素直な心、ゆったりとした柔軟な心が育まれ、集中力や意欲へとつながっていきます。
乳幼児期はヒトから人間になっていく大事な時期であり、人間形成、人格形成の土台となる時期にしっかり自然に触れてほしいのです。
四季の移ろいや暑さ寒さ、でこぼこ山道や緑の原っぱなど変化に富む自然での「たくましい体」づくり、仲間としっかり遊び自分で考え行動し、人を大切にできる「しなやかな心」を育んでいきます。さらに、地域の方々やお年寄りとの交流で「思いやり」「知恵」を身につけていきます。
ぽんぽこ山保育園が、子どもも大人も共に育ち合い生きる力を育む場所となるよう、そして、地域にとって保育園が、必要な集いの場となるよう皆様と共に歩んでいきたいと思います。
2019年12月
ぽんぽこ山保育園
園長  竹川 順子

保育士の思い

ぽんぽこ山保育園の園庭の真ん中にある大きなイトヒバの木。木登りが楽しめるこのイトヒバはこの園のシンボルであり、昔から変わらず子ども達を見守っています。
ここに集う子ども達も、四季を通じてこの木の下に自然と集まって遊んでいます。小石あそびから始まりおままごと、そして今では木登り遊びが子ども達の楽しい遊びになってきました。子ども達はこの木が大好きなのです。
一年前は、枝に取り付けられたロープにぶら下がって遊んだり「先生手伝って!」と言って体を支えてもらって登っていましたが、今年はロープを握る度に“自分でこの木に登ってみたい”と何度も何度も練習を始めました。繰り返すうちに腕の力も強くなって、やっと自分の力で登れるようなる。たまらなく嬉しくて、楽しくて、きらきら輝く笑顔が“自信”にあふれる顔にかわっていきました。いつの間にか大きくなってたくましい子どもに変身です。木の上から見える景色や空、風を感じて、子ども達は枝にお互いの場を上手に作りながら楽しい話がはじまるのです。そして、もっと高く!と弾みをつけて、自分をためすこともはじめていきます。
生活にもメリハリがつき始め、自然が育ててくれること、全身を使って楽しみ、自信からあふれる心の余裕や心の持ちようで成長しているように感じられるのがこの園の子ども達だと思います。乳児組は木の下から上を見上げては、ロープをもって遊んでいます。“自分も大きくなったら……”と。
自然が与えてくれる幸せを私たちは感じずにはいられません。
これからはAI化の時代になっていきます。子どもを取り巻く環境は自然からどんどん離れていくことでしょう。人は自然の中の一部だと考えると、技術の恩恵を受けながらも、自然に積極的に関わっていくことは大切と思うのです。子ども達にとって自然の中でのわくわくする遊び、楽しくてたまらない体験の積み重ねは、さまざまな力を養い、自分の頭で考える力を育んでいると思えるからです。
自然の力を借りながら、ともに幸せや喜びを感じ、子どもの豊かな心の成長をイトヒバの木とともに側でそっと見守りつづけ、かけがえのない保育士になりたいと思います。

ぽんぽこ山保育園の誕生経緯

はじめに

ぽんぽこ山保育園の歴史は昭和三九年に財団法人八幡会によって設立された八幡幼稚会にさかのぼります。八幡幼稚会は当初、森と川鳥、菅の三地域を週二日ずつ巡回していました。昭和四五年四月に森幼稚会と川鳥幼稚会が合併し、昭和四六年四月に東城町立八幡僻地保育所となり、昭和五四年四月に東城町立八幡保育所になりました。平成十七年四月に庄原市と東城町の合併に伴って庄原市立八幡保育所になりました。

 

庄原市立八幡保育所の存続の危機

中山間地域にある庄原市立八幡保育所の園児の人数は十人程度と少なくなっていましたが、保護者会は保育所の継続に向けて頑張っていこうと連携をしていました。

平成二七年度になって家庭の事情から、町内の他の保育所への転出の申し出が相次ぎました。十一月八日に八幡自治振興センターでは収穫祭が催され、地域の人々でにぎわう中、八幡保育所の所長は地域の女性の仲間に「保育所の子どもの転出が相次ぎ、来年度は休所になってしまいます」「相談するあてもなく悩んでいます」と苦しい胸の内を打ち明けました。「保育所がなくなれば小学校もなくなる」「八幡地域に子どもの姿が消えてしまう」この話を聞いた人達を中心に保育所存続の動きがはじまりました。

特定非営利活動法人 やわた創生プロジェクトの設立 

十一月十七日に庄原市から八幡保育所と八幡自治振興区に対して、平成二八年度の八幡保育所の子どもが十人に満たない場合は休所となることの説明がなされました。八幡保育所の保護者や地域の人々が集まって、八幡保育所の存続や八幡地域の活性化の対策が検討されました。

十一月二四日には庄原市長と庄原市議会議長に対して、八幡保育所の閉所延期と東城保育所のサテライト保育所としての継続、八幡小学校の魅力づくりなどの申し入れを行い、一年間をかけて庄原市と地域が協議を行うことになりました。

地域では特定非営利活動法人の設立の準備をはじめ、十二月二六日には社会福祉法人東城有栖会への協力要請も行いました。地縁団体八幡会に対しては送迎車両購入のための寄付の要望が出されました。

一方、八幡小学校では魅力づくりについて話し合われ、児童の学力定着のための学習塾の要望が出されました。

こうした要望に応えるために、三月三日から地域協働型プロジェクト学習を始め、四月八日からいいやま子ども塾も始めました。

四月四日に特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトの設立発起人会を開きました。五月二五日には設立総会を開き、初代理事長に中島吉穂氏の就任が決定されました。六月五日に特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトの法人認可の申請を行い、九月二七日には特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトが認可されました。

 

庄原市立八幡保育所の魅力づくり

広島県共同募金会から平成二八年度共同募金の緊急・即応事業支援資金の交付を受けることができました。八幡保育所の魅力づくりの取り組みが始まり、六月二八日には東城保育所との交流が始まりました。社会福祉法人東城有栖会の協力でデイサービス「にこにこ林」との交流や音楽療法士による「ハートミュージック」も始まりました。

八月三一日の地域と庄原市との協議では、庄原市から東城保育所のサテライトとしての八幡保育所の継続は困難であり、八幡地域で小規模保育所を設立することの提案がなされました。

ぽんぽこ山保育園の設立

特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトでは小規模保育所の設立について協議を重ねました。その結果、特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトが設置主体になり、社会福祉法人東城有栖会が運営主体となって小規模保育園を設立することの方向性を決めました。新たに設立する保育所が魅力あるものになるために、九月十五日と十月四日に県内外の自然保育を行っている幼稚園などの視察を行いました。

中島吉穂理事長は何としても小規模保育所の採算ラインの園児四人を確保して保育所を設立することを話されました。しかし、中島吉穂理事長は小規模保育所の設立をまたず、十月二二日に急逝されました。保育所の存続や小学校の魅力づくり、高齢者の生活支援などについて様々な意見がある中で、特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトをリードしていただいたことに深く感謝申し上げ、ご冥福をお祈り申し上げます。

特定非営利活動法人やわた創生プロジェクトでは、ぽんぽこ山保育園の設立や八幡小学校の魅力づくり、高齢者の生活支援などの地域課題に取り組むために、広島県共同募金会の地域テーマ募金(地域活動支援プロジェクト)に取り組むことにしました。十月になって八幡会から送迎車購入のための寄付が八幡自治振興区にあり、十一月に送迎車が購入されました。

小規模保育所の設立の準備を進め、保育園児四名の確保の見通しが立ったため十二月六日に庄原市長と庄原市議会議長に対して小規模保育所の設立の表明を行いました。十二月二二日には庄原市に対して小規模保育所「ぽんぽこ山保育園」の設立手続きを開始しました。

平成二九年三月十八日に庄原市立八幡保育所の閉所式が行われました。三月二七日には小規模保育所「ぽんぽこ山保育園」が認可され、四月十五日に「ぽんぽこ山保育園」の開園式と入園式を行いました。

休所という問題が持ち上がってから平成二九年四月十五日の「ぽんぽこ山保育園」の開園式まで一年半たらずの短い期間の取り組みでした。これは昭和三九年に財団法人八幡会によって設立された八幡幼稚会から七十年に及ぶ八幡地域の保育に対する地域の人々の熱い思いと支援、そして広島県共同募金会の支援があったから実現できたことと思います。

地域の基点としてのぽんぽこ山保育園

ぽんぽこ山保育園は、地域の人々の支援や応援によって、地域の自然を生かした自然保育に取り組んでいます。「ぽんぽこランド」や「ぽんぽこ原っぱ」「ぽんぽこ山」などの土地使用や「熊さん原っぱ」の土地使用。「ぽんぽこてぇ」と「山のいえ」などの建設資材の提供。「森の牧場」の建設。保育園児の送迎。サポーターによる保育園の草刈りなどの環境整備など、多くの皆さんの支援や応援によって、ぽんぽこ山保育園の自然環境を生かした自然保育が行われています。

一方、ぽんぽこ山保育園では保育園の行事を地域に開き、保育園児と小学生、中学生、高校生、大人だけでなく、高齢者や外国人など、様々な人々とのつながりを大切にしています。

八幡地域も人と人とのつながりが希薄となり、大人同士でさえお互いの顔を知らず、子どもがどこの家庭の子どもであるのかもわからなくなりつつあります。

このような中で,ぽんぽこ山保育園は意識的に人と人とのつながりをつくり、子どもを見守り、子どもを育てていく地域を創っていこうとしています。

子どもは地域の未来です。一つずつ小さな現実に向き合い、ぽんぽこ山保育園を子どもと大人、地域が共に育っていく基点にしていくことが大切になっています。

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