目 次
子供の未来への約束
誰も知らない時代を
子どもは生きていきます
森と水と太陽とに恵まれた
豊かな自然の中で培われた力は
未知の時代をはばたく
子どもの翼になります
春が来た
中国山地のど真ん中にある八幡の春は遅くやってきます。
長く厳しい冬の間、じっと雪の下で耐えていた早蕨(さわらび)が力強く芽吹き始めます。変わりやすい天候は、やっと頭を出したつくしや桜の花に雪を降らせることもあります。
ぽんぽこランドの小川の水も温み、成羽川に向かって穏やかに流れていきます。梅や桜、菜の花が一斉に花開き、園庭の風や色、においが変わります。子ども達は笑顔いっぱい、元気いっぱいに遊びます。
園庭の桜の下で新入園児を歓迎する春祭が催され、地域の人々の祝福の笑顔に包まれて、子ども達はぽんぽこ山保育園での新しい生活を始めます。
森湯谷のエドヒガン桜が満開になると、子ども達はみんなでお花見に行きます。ぽんぽこランドでわらびや山菜を採ったり、大きな蛙を見つけて歓声をあげたり、土手の草をよじ登って滑ったり、園庭の芝生の上で遊びまわったりします。ぽんぽこ山の崖下の木の枝で逆上がりをしたり、木によじ登って遊びます。
やがてぽんぽこランドの原っぱは、すっかり緑の草におおわれ、子ども達は背丈近くに伸びた草むらの中を夢中になって走りまわります。
生命に触れる
ぽんぽこ山保育園にうさぎの赤ちゃんが誕生しました。子ども達は登園すると、真っ先にうさぎの赤ちゃんやお母さんに挨拶をします。名前をつけてお世話もみんなでします。うさぎはみんなのアイドルなのです。
ぽんぽこ山保育園には時々ヤギもやってきます。子ども達は、土手で草を食べているヤギと遊びます。
ぽんぽこ山保育園の近くにある森の牧場には子どもの牛がいます。子ども達は森の牧場まで歩いて遊びに行きます。牛は子ども達とすぐに仲良しになり、子ども達の手をなめてくれます。
地域の農家の人達と一緒にぽんぽこ山保育園の畑にさつまいもを植えます。一緒に農作業をしたり遊んだりしながら土に親しんでいきます。
うさぎやヤギ、牛などの動物とふれあいながら、自然や生命の尊さを学んでいるのです。
坐禅
春になると近くのお寺まで遠足に行きます。ぽんぽこ山保育園からお寺にむかって歩いていると、子ども達は道ばたで大きなフキを見つけました。背丈ほどもあるフキをとって傘のようにさして歩いていきます。歩き疲れて道にしゃがみ込む子どももいます。何度も立ち止まったり、休んだりしながら最後まで歩きます。
やっとお寺の石段にたどり着きました。ジュースをもらって笑顔いっぱい。お寺の蓮池をのぞき込んだり、鐘楼堂にあがってゴーンという鐘の音を聞くたびに静かな気持ちになります。
お寺の本堂にあがると、中は薄暗く外の景色がまぶしく見えます。子ども達は坐禅をします。鳥の声、風の音が聞こえてきます。
わくわく自然保育
五月の連休に「わくわく自然保育体験会」を行いました。ぽんぽこ山に秘密基地を作ろうと親子で登っていきます。自分一人で山に駆けあがっていく子どもや、手を引っぱってもらっている子どももいます。山頂では、竹を運んだりヒノキに縛り付けたりして秘密基地を作ります。完成した秘密基地にそれぞれ入って遊びます。
ぽんぽこランドでは、木道を恐る恐る渡ったり、親に手をつないでもらって渡る子どももいます。木道の上で寝そべったり、木道の下の小川で遊ぶ子どももいます。「ぽんぽこてぇ」に到着してひと休み。
園庭ではギターの演奏と歌を楽しみます。昼になると薪で炊いたご飯のおむすびと大鍋で作ったお汁を食べます。食事が終わると、子ども達はのこぎりで竹を切ったり棒登りをして遊びます。
自然保育では、親と子どもが共に育っていきます。
泥んこに花が咲く
子ども達は泥んこ遊びが大好きです。泥は子ども達の生活を想像する道具です。
泥に花を植えてお花畑を作ります。泥でお寿司を握ってお寿司屋さんごっこをします。まるで回転寿司のようです。
園庭に穴を掘ってお水を入れお風呂の完成です。温泉気分に浸り、最後は水道のシャワーを浴びます。
子ども達は自分の生活をよく観ています。生活が泥遊びになり、子どもの手と指が想像力や感性を培っていきます。
土は生命の源であり、ぽんぽこ山保育園では、子ども達が土と親しむことを大切にしています。
畦道を探検する
飯山の麓を流れる田黒川にそって豊かな田園が広がっています。子ども達は、網やバケツをもって田んぼの畦道を歩いていきます。溝の中に入って魚や昆虫を探します。トンボのヤゴを捕まえると、みんなが集まり大喜び。ぽんぽこ山保育園の水槽で育てよう。
子ども達はヤゴのエサをとりに再び溝に入ります。ミミズやオタマジャクシなどの小さな動物がヤゴの餌になるのです。
ヤゴと水生動物などとの生命の連鎖があることに気づいていきます。
夏 真っ盛り
ぽんぽこ山保育園の上空には真っ白な積乱雲が沸き上がっています。真夏の日差しをものともせずに子ども達は園庭の溝の中を歓声をあげながら、元気いっぱいに走りまわります。園庭のイトヒバの大木は緑の葉が生い茂り、絶好の遊び場になっています。子ども達はぶら下がってブランコをしたり、イトヒバの木に登って遊びます。
ぽんぽこランドの小川は冷ややかな空気を伴って流れ、蝉の声がジーンジーンと響き渡っています。子ども達はサワガニやドジョウなどを探したり、深くえぐられた小川を上流に向かって探検します。
ぽんぽこ山は真夏でもひんやりとした空気に包まれています。子ども達は山に登って秘密基地を作ったり、クワガタや尺とり虫などの生き物を探します。
子ども達の探検は知恵や勇気を育み、みんなで励まし合い、助け合う力を培ます。
川遊び
帝釈峡に遠足に行きます。帝釈峡の雄橋に到着するとその大きさにびっくりします。どうしてこんな大きな橋ができたのだろう。みんなで歓声をあげて大はしゃぎ。川遊びの経験のない子ども達は一緒にゆるやかな浅瀬で遊びます。
川遊びが大好きな子ども達は急流をものともせず川に入り、石をひろい、水切りをして遊びます。また、たくさんの小石を集めてダムを作って遊ぶ子どももいます。
はじめは水を怖がっていた子ども達も少しずつ川に入り、友達に励まされて急流に向かって挑戦します。みんなで励まし合いながら共に育ち合っていく姿にたくましさを感じます。昼になると河原で弁当をほおばります。美味しい手づくりの弁当に大喜びです。